スマホに「使われる人」と「使いこなす人」の違い ― あなたは、主導権を握っているだろうか?
ピョートル・フェリクス・グジバチ
2025/06/04
スマホに「使われる人」と「使いこなす人」の違いは、日々の小さな習慣に現れる。
気づいたら、スマホに振り回されていないか?
通勤電車で。会議の合間に。寝る直前に。 「なんとなくスマホを触ってしまう。」 そんな瞬間はないだろうか?
スマホは、便利で、楽しくて、仕事にも欠かせない。 だが、もしあなたが「暇だから」「通知が気になるから」「癖で開いてしまう」なら、もしかするとあなたはもうスマホに「使われる人」になっているかもしれない。
スマホに“使われる人”の3つの特徴
スマホに「使われる人」には、いくつかの典型的な行動パターンがある。
① 無意識で使っている
手が勝手にスマホに伸びてしまう。 スクロールしている間、目的もなく、何を探しているのか自分でもわからない。
② 暇つぶしの習慣になっている
ちょっとした待ち時間や移動時間に、ついスマホを開いてしまう。 本当は考えごとをしたり、休憩したりする時間だったはずなのに、いつの間にか“暇を埋めるだけ”の行動が日常になっている。
③ 「通知優先」で動いてしまう
SNS、メール、チャット……通知が来るとすぐに反応してしまう。 スマホに呼ばれるたびに、自分の集中力も時間も小さく奪われていく。
実際に、2017年のテキサス大学オースティン校の研究では、スマホが視界に入っているだけで、私たちの認知能力は顕著に低下し、集中力が損なわれることが示されている。
スマホを“使いこなす人”はここが違う
一方で、スマホを「使いこなす人」は、驚くほどシンプルな工夫をしている。
① 目的を意識して使う
「今、このアプリを使う理由は何か?」を常に自問している。 スマホを開くときも、「仕事の連絡を確認する」「ニュースを読む」といった目的が明確だ。
② 時間を区切って使う
スマホを見る時間帯や、アプリを使う長さに明確なルールを設けている。 たとえば、「朝はSNSを開かない」「ニュースは昼休みにまとめて読む」といった、自分なりの時間制限を持っている。
カリフォルニア大学アーバイン校のグロリア・マルク教授の研究によれば、一度集中が途切れると元の状態に戻るまで平均23分かかることがわかっている。 「使いこなす人」は、こうした集中の損失を防ぐために、スマホ使用時間を意図的に区切っている。
③ 選択する力を鍛えている
使うアプリを定期的に見直し、「必要なものだけ」を残す。 スマホのホーム画面を整理し、誘惑を減らし、自分にとって本当に価値のあるアプリだけを厳選している。
今日からできる:スマホの主導権を取り戻す3つの工夫
あなたも今すぐできる、簡単で効果的な習慣がある。
✔️ アプリ整理をする まずは、ホーム画面を見直し、本当に必要なアプリだけを残す。「無意識で開いてしまうアプリ」は思い切って削除するか、深いフォルダーにしまい込む。
✔️ 利用時間を見える化する スマホの「スクリーンタイム」や「デジタルウェルビーイング」機能を使い、1日の使用時間をチェックする。現状を「見える化」するだけで、行動は大きく変わる。
2022年のStatistaの調査では、世界平均で1人あたり1日4.8時間スマホを利用していることが報告されており、日本も例外ではない。自分の使用時間を知ることは、改善の第一歩だ。
✔️ インストールする前に、意識的に判断する 新しいアプリを入れるとき、「本当に必要か?」「これは私の目的に合っているか?」を必ず自問する。無意識のインストールは、無意識の消耗につながる。
まとめ:使い方ではなく、向き合い方で差がつく
重要なのは、「どのアプリを使っているか」ではない。 「どんなスタンスでスマホに向き合っているか」が、人生の質を左右する。
スマホは便利だ。 だが、使い方を誤れば、あなたの時間も集中も静かに奪っていく。
あなたは、スマホを使いこなしているだろうか? それとも、スマホに使われているだろうか?
ぜひ、あなたが実践しているスマホの工夫や習慣を教えてほしい。 あなたのヒントが、誰かの主導権を取り戻すきっかけになるかもしれない。
次にやること
✅ 自分のホーム画面を今すぐチェックしてみよう。
✅ 不要なアプリを1つだけでも削除してみよう。
✅ 今日から、スマホの「使い方」ではなく「向き合い方」を変えてみよう。
出典
Ward, A. F., Duke, K., Gneezy, A., & Bos, M. (2017). Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity. University of Texas at Austin.
Mark, G., Gudith, D., & Klocke, U. (2008). The Cost of Interrupted Work: More Speed and Stress. University of California, Irvine.
Statista (2022). Average daily mobile phone screen time worldwide.